北海道銀行ほしみ研修センター

- ●所在地
- 北海道札幌市手稲区星置南4丁目
- ●竣工時期
- 2009年2月
- ●PC仕上げ・仕様
- 花崗岩打込、フッ素樹脂塗装
- ●設計・監理
- 株式会社 三菱地所設計
- ●規模
- 延床面積/7,789.05m²
地上3階(研修棟)、地上5階(宿泊棟)
高さ/16.295m(研修棟)、18.395m(宿泊棟)
北海道銀行の研修施設として計画されたこの建物は、人材育成の為の期待が強く、ハードとしてもそれらをサポートする提案が求められた。施設構成は、「ONとOFF」「集中と開放」のメリハリをつけるため、「教室と休憩スペース」「共有スペースとプライベートスペース」それぞれに動線をクロスさせるように配置した。主動線をエントランスアプローチ軸へ立体的・平面的に交錯・集約し、その交点に休憩スペース・ダイニングスペースを配置すること、宿泊室においては主動線の中心に共有リビングを配置することで施設利用者の交流の場をつくった。外壁においても、「閉じるところと開くところ」の対比や、インテリア・プランニングにおいても、「日常空間と非日常空間」の対比の空間を作り出すことで、効率的で快適な研修が可能となるようなハード面での対応をおこなった。
敷地はJR「ほしみ駅」前の立地し、正面の山々からつづく緑に囲まれ、自然環境に恵まれている。施設配置としては、3つのボリューム構成(研修ホール・研修棟・宿泊棟)からなっており、研修棟と宿泊棟をつなぐ渡り廊下にて、ON/OFFの切り替え効果をねらうべく、外観や内装インテリアの雰囲気を意図的に異なる物としている。環境配慮の視点から、①自然光の取り入れ(ガラスはlow-e)、②外断熱PC断熱材打込工法、③太陽光利用のパネル(屋上設置)④カセット式壁面緑化などを採用した。
寒冷地における居住環境やエネルギー環境への配慮とJRに隣接した立地での騒音への配慮から開口部を最小限に絞った外観デザインとした。外壁には(外断熱PC)断熱材打込工法を採用したことで、前期の条件をみたすと共に、工期短縮をはかれた。研修棟は、花崗岩打込外断熱PCとし、開口部とのメリハリをつけたデザインとした。開口部のない研修ホールは、リブ形状外断熱PC+フッ素樹脂塗装の外壁と壁面緑化で覆うことで、道銀のIDカラーを強調することができ、建物のアクセントとなった。
研修ホールは、地域への開放を視野に入れており、地域交流への貢献も可能としている。「地域に根ざした施設としたい」という施主の意向もあり内部の仕上げ材には道産カラ松材を、外構にはシラカバの植樹、家具については道産メーカー品を採用するなど、地産地消の取り組みも行った。この施設が、閑散としていたほしみの駅前に人の流れを生み出すとともに、北海道に活力を与える人材を育む施設として地域に親しまれる存在となることを願っている。
株式会社 三菱地所設計
高野 勇治