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朝日放送新社屋

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朝日放送新社屋の正面 朝日放送新社屋の概観

大阪のリバーフロントは今大きく変わりつつある。逆に東京のウォーターフロントは、大阪ほどの勢いがない。東京は大事なチャンスを逃したように見える。日本橋の上部にかかる首都高速を取り除いて、昔の開放的なリバーフロントを取り戻す動きがあるが、それ以外には目立った事件が水の際に起こる気配がない。

世界の都市では、水際を中心に新しい動きがある。水とどうつきあうかが、21世紀の最も大事な案件である事を人間が本能的に察知しているからである。地球温暖化よりエネルギー問題より水の問題こそが21世紀の人類の生死の鍵をにぎっている事を人間の身体は直感的に感じているのである。 大阪は東京の失敗のあとで、いい時期に水際の重要性に気づき、都市と水際を近づけるための、おもしろいプロジェクトがいくつも始まりつつある。この朝日放送のプロジェクトも、これは周辺から孤立した単体の建築プロジェクトではなく、大阪の水際の生活を大きく変えて、大阪を再生させるプロジェクトであるという共通認識をプロジェクトにかかわった全員が持っていた。

だからえてしてセキュリティーにしか目のいかない事の多い一民間企業の本件のプロジェクトであるにもかかわらず、堂島川に面して、様々なパブリックスペースを大阪という都市に対して提供する事が可能となった。

デザインに関してわれわれが注意したのは建築を構成するエレメントの大きさである。水に近く、土に近くそして当然人間の身体にも多く接する部分には、小さくて、人を威圧しないような寸法のエレメントを設置したいと考えた。われわれが選んだのは、木材の粉とプラスチックの粉とを混ぜて固めたリサイクル素材でその寸法は220×600mm、色は褐色で表面にテクスチャアがある。上層部にいくと、より大きく抽象的質感を持つ素材が望ましいと考えた。2700×6300mm程度の寸法のプレキャストコンクリートが塗装され白色に昇華されて空へ融けていくような上層部が実現した。 建築の素材、寸法を人間からの距離、大地や水からの距離によって決定する方法は、都市にヒューマンスペースを想像する武器になりえるかもしれない。

隈研吾建築都市設計事務所
隈 研吾
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