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ナショナルトレーニングセンター中核拠点施設は、トップレベルの競技者の集中的かつ継続的な強化、ジュニア競技者の育成、指導者の質の向上などを行なうためのナショナルレベルのトレーニング拠点である。その主要な施設となる屋内トレーニングセンターは全体のシンボルとなる建築である。計画では心身ともに快適にトレーニングができる環境を備えるとともに、アスリートの憧れであり心の支えとなる場所をつくることを目指した。
外観は、東西の外壁に大きさの異なる2種類の縦ルーバーをリズミカルに設け、その一部をウェーブさせることでアスリートの持つ躍動感、しなやかさを表現している。縦ルーバーの大判のテラコッタタイルを打込んだPCや、外壁の骨材を表出させたアーキテクチュラルPC版など自然な材料を外装材の主体とし、見る場所や角度で変化するルーバーの表情と共に、巨大でシンプルな建築の壁面全体に、自然素材のやさしさを加えることで深みを与え、周辺の景観との調和を図っている。
内部は、競技毎に国際競技ルールに対応した空間・設備をもつ10競技の専用トレーニング場と共用コート、25mプール、ウェイトトレーニング場を、各競技場の天井高さや特性に応じて合理的に4 層に重ねて配置している。そして隣り合う2つの競技場を繋ぐかたちで各階にアスリートラウンジを設け、厳しいトレーニングの合間にリラックスとアスリート同士の交流ができる場としている。
機能的な特徴として、複数の競技場が隣接しかつ積層する特殊な構成であるため、無柱の大空間である競技場を挟むように東西のダブルの構造フレームを設け、その中に関係諸室、WC、階段などを計画したシンプルな平面、構造計画としている。その際、競技場間の騒音・振動対策が大きな課題であった。床の振動に対しては競技場床下に制振装置のTMDを設けて競技による振動に対応し、上下の騒音に対しては床組下に鉄道敷でも使用実績がある防振材を設け、また床全体に吸音材を敷き詰め対応している。競技場間の間仕切壁は中央の遮音壁の両側に吸音壁を設け、かつ下地にも防振材を設けている。天井については、地震時に揺れで天井材が崩壊しないよう、天井の加振実験から求めた必要なクリアランスを確保した上で、遮音天井としての性能を確保している。
この施設でトレーニングをした選手たちが世界で活躍し、日本のスポーツがより発展して多くの人々に夢を与えることができることを心から祈っている。
(株)石本建築事務所
長尾 昌高、山本 健一
(株)佐藤総合計画
関野 宏行、龍 治男