読売京都ビル

読売京都ビルの正面
●所在地
京都市中京区烏丸六角下る七観音町630
●竣工時期
2006年3月
●規模
延床面積/6,590.74m²
地下1階/地上10階/塔屋1階
高さ/42.65m
●PC仕上げ・仕様
大型陶板および花崗岩打込み
●設計・監理
株式会社 日建設計

京都市街を南北に貫く烏丸通り。 平安京の時代には「烏丸小路」と呼ばれたこの通りは1200年の歴史を持ち、古の都の頃より政治・経済の中心として栄え、現在もなお多くのオフィスや金融機関が建ち並び、京都の大動脈として日々発展を続けている。

読売京都ビルは、読売新聞京都総局の施設建替えを機に、テナントオフィスを併せ持つビルとして、この烏丸通りに面した場所に移転新築された。

京都という地は他の大都市とは異なり、都市部においても古くからの甍屋根を連ねる町家などが数多く残る。そしてそれが都市イメージの一つとなっている。新しいビルの計画にあたり、この京都ならではのまちの色・素材の醸し出す雰囲気を表現し、街並み景観の向上に寄与したいと考えた。そこで、通りに面した外観は「いぶし銀瓦色の大型陶板」と、「テラコッタルーバー」とで構成し「和」をイメージさせるデザインとし、また歴史ある新聞社のビルとして品格をもった存在感のある建物とした。

西側正面となるビル計画にあって、壁に穿つ窓まわりは日射を遮るために彫りの深い表情とした。その表情を形作る柱型は、構造体である鉄骨柱を抱いたコの字型平面のPC版とし、正面には伝統的な壁張り手法の一つである「下見板張」をモチーフとした大型陶板を打ち込んでいる。陶板は1枚がW940×H240の押出中空の台形断面をしたものを、1ユニットあたり15枚を重ねて打ち込んだ。「いぶし銀」の微妙な風合いを出すため、還元焼成した上に微量の釉薬を施した陶板の表面は、極めてデリケートな材料であったため、PC版の製作から施工に至るまで取り扱いにはかなりの注意を払っていただいたと思う。また花崗岩を打込んだ両側面は、PC柱型間にかかるテラコッタルーバーの取付金物が、室内外から目立たぬよう、PC板側にもこまかな細工を施している。この柱型上部には各階ごとに形鋼打込のPC版の水平庇を設けている。これはデザインとしてだけではなく「水切り庇」として大型陶板の汚れ防止の役割も担っている。

こうして出来上がったビルは、京の都に凛とした面持ちで建ち、朝夕また季節のうつろいとともにその表情を変化させている。

株式会社 日建設計
渡辺 豪秀、西田 佳代

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