日本橋三井タワー

日本橋三井タワーの正面
●所在地
東京都中央区日本橋室町2-1-1
●竣工時期
2005年7月
●規模
延床面積/133,727m²
地下4階/地上39階/塔屋1階
高さ/194.69m
●PC仕上げ・仕様
花崗岩貼り(サモア)
●設計
株式会社 日本設計
(カーテンウォールコンサル タケノヤ事務所)
●デザインアーキテクト
シーザー・ペリ アンド アソシエーツ ジャパン株式会社

昭和4年に竣工した三井本館は、三井財閥の拠点的な機能を持つアメリカンボザール形式の事務所ビルディングで、近代的事務所建築の完成形のひとつである。力強さの中に華やかさを感じさせる意匠となっており、平成10年12月重要文化財に指定された。

都市部における歴史的建造物はその多くが開発により取壊されてきたが、我々は豊かな都市開発を目指して保存という文化的側面と事業的な側面の両立を目指した。建築基準法3条1項を文面どおり適用すれば重要文化財は容積対象とはならないのではないか、という問いかけを出発点に、制度の制定主体である行政と議論を積み重ね、単純な建築基準法上の容積除外という構成をこえて新しい都市計画思想を制度として体現することを共通の目標として持つにいたり、その結果、1998年に都市計画上の新制度として、重要文化財と超高層建築を一体のものとして開発することを可能にする枠組み「重要文化財特別型特定街区制度」を東京都が創設した。本プロジェクトではこの制度の適用第一号を受け、三井本館を保存し隣接する空地に超高層ビル『日本橋三井タワー』を建設するという「開発と保存の両立」が実現できた。この一連の取り組みに関し、三井不動産と日本設計は「日本建築学会賞(業績)」を受賞した。

建物は、三井本館を意識したオーセンティックな3層構成である。低層部はアトリウムを持つ大空間、中層部がオフィス、高層部がホテルという複合機能と、街並みに調和するセットバックから全体のボリュームを決定した。外装デザインはシーザー・ペリ氏によるもので、低層部から中層部オフィス階までは三井本館との調和を意識して列柱のイメージを重視した柱型が段々と細くなり、高層部のホテルではガラスだけが表現されるデザインとなっている。低層部ではステンレスサッシュと花崗岩打込PCを組み合わせ、中層部では柱型の花崗岩打込PCとユニット型アルミカーテンウォールと組み合わせている。高層部のホテルでは、スパンドレルをアルミサッシ打込PCカーテンウォールとし、デザインで求められる全面ガラスのイメージと、ホテルで要求される遮音性能や断熱性能の確保を行った。基本的には等圧ジョイント方式を採用し、外部側ガスケット+内部側シールとしている。

非常に複雑で、難易度の高い外装計画であったが、施工者、PCをはじめとした外装関連メーカーの技術者と3年以上にわたる検討会を経て、すばらしい成果が出せたと思っている。関係者の皆さんにあらためて感謝したい。

株式会社 日本設計
中村 仁

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