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昨年春にオープンした栄三丁目ビル・ラシックは、オフィスと商業のコンプレックス・ビルである。名古屋の中心、栄に立地し、東の久屋大通り公園と西の大津通りの2本の大通りに挟まれて建つ。 久屋大通り、大津通りとも、歴史のある大通りであり、特に久屋大通りは通称100m道路と呼ばれる、通りの中央に公園を配する緑豊かな通りであることから、外観は永く街往く人々に愛されるよう、端正な陰影を持ち、緑と対比する白を基調としたデザインとした。 外装材は、PC版に汚れ防止加工を施したタイル打ち込んだ面材とオフィスのある高層部のリブ状のPC版、これに商業部分のガラスを対比させる構成としている。
オフィス部の東西面を構成するリブ状のPC版は、東西に面するオフィスのへの日射遮蔽を行い、室内の熱負荷低減を行うといった環境上の目的と、夕景から夜景に至る商業ファサードをオフィスの蛍光灯照明が阻害しにくいようにする景観上の配慮から設けたものである。
その間隔は@2025mm、窓面からの奥行きは約600mm、見付け幅は約200mmであり、このリブの間に床から天井までのフルハイトの窓がはめ込まれている。この繊細なリブ状のPC版がつくる深い陰影が、端正なファサードに結びついている。
また、商業部分であるラシックのファサードは、通りの賑わいを建物の中に導き、建物の中にあって街歩きの楽しさを感じる、魅力ある商業空間を創りたいと考えた。ガラスを基調にした外装の中に、三越が百貨店という冠を脱し、170店舗に及ぶ専門店を集積した新しい商業空間「ラシック」を幾重にも重層する吹抜空間の中に作り出している。
夕暮れともなれば、様々な店舗の照明やリブ状のPC版の間から漏れるオフィスの照明が、館内の人の賑わいと共に街に浮かび上がり、そのあかりは通りや公園の緑を鮮やかに照らし出す。このビルが単なるオフィスと商業のコンプレックスビルの枠を超え、栄の新しい「街」として、賑わいのあかりをとも灯し続けることを願っている。
株式会社 日建設計
若林 亮