カトリック神戸中央教会

- ●所在地
- 兵庫県神戸市中央区中山手通1-28-7
- ●竣工時期
- 2004年10月
- ●規模
- 鐘楼/4m四方
高さ/23.00m
阪神淡路大震災から7年、被災した3つの教会が新たにカトリック神戸中央教会として再建された。震災直後から続く社会活動神戸センターの活発な活動を支えることと、沈黙の内に祈りをささえることができる安らぎに導かれる聖堂空間を創ることの両立が課題として与えられた。
都市空間の中にカトリック教会らしい象徴的な景観となるよう、主聖堂と鐘楼を象徴的に広場の入口に配置した。
敷居の低い開かれた教会として、誰もが自由に訪れやすいように、聖堂の外壁に沿って行くと自然に聖堂の入口に導かれる。聖堂の外壁は三位一体を象徴した3枚の壁で囲み、方舟にもイメージを重ねている。その形は、単純な切妻型の形であるが、三角形の平面特性から祭壇に向かって上昇する内部空間を持つ。
また、信徒館から司祭館まで動きのある屋根のある一体の造型で広場を囲むことで、広々としつつも、守られた雰囲気を創った。広場の奥に社会活動センターを配置して、外部空間を有効に生かせるテント屋根の場を用意し、社会活動の拠点と教会の空間が同居しながらもお互いに干渉しない距離を策定した。
ぐるりと囲いこんだ広場の入口の鐘楼は、聖堂の白煉瓦の柔らかい雰囲気と対照的に、PC独特の素朴で重厚な質感を生かした単純な造形の鐘楼としてしつらえた。鐘楼本体は、十字形の丁部のピースと板状の8ピースのみで構成している。
古い鐘に目が向かうように、鐘楼本体はできるだけモノリシックにしたいと考え、接合部を限界まで目立たせないようにディテールを打合せ検討して構成した。足元には福音書記の聖人をモチーフにしたモザイクタイルを配している。
明星大学教授・村上晶子アトリエ代表
村上 晶子